INDONESIA "Sadayana" Typica
生産地 インドネシア、ウエストジャワ、グヌン・ハル
生産者 周辺に暮らす約200軒の農家
標高 1,200m~1,700m
精製 Fully Washed (サダヤナ・ウォッシングステーション)
品種 ティピカ、ティモール、シガラウータン
取次 ワタル
カップクオリティ。温かい内は明るくて優しい香りとややスパイシーな印象。冷めるにつれてオレンジのようなフルーティーさが増し、アフターテイストの心地よさに繋がっていきます。
小笠原コーヒー栽培(1878年)のルーツとなったインドネシア・ジャワ島のコーヒーは、当時の大コーヒー生産エリアであったことと、日本が交易を保っていたオランダの支配下にあったことが背景にあると考えられます。
現在では、ジャワ産のティピカ種コーヒーはメインストリームから外れてしまいましたが、今回紹介するサダヤナWSのようなスペシャルティグレードは一部のコーヒー愛好家から支持を受けています。現在のインドネシア産コーヒーはスマトラ式が主流ですが、小笠原のコーヒー農家のように水洗式でコーヒーを作っていることも本ロットの魅力です。
インドネシアのコーヒーは非常に長い歴史を持つ反面、コレクターを仲介する独自の流通形態やこれによるウェットハルと呼ばれる独自の生産処理プロセス、また近年のコーヒーマーケットの望むトレサビリティなど、長く独自の歴史を持つがゆえに、スペシャルティコーヒーの市場へのアプローチに遅れを取ってきました。近年は、品質を重視し地域に根付いたコレクターの活躍や、ウォッシング・ステーションの設立、地域農協の取組み、Cup of Excellenceなどのコンペディションにより、市場に変化が齎されています。
インドネシア独自の生産処理であるウェットハルは、収穫したチェリーを手回しや電動式の果肉除去機でパルピングし、農家の持つタンクなどで発酵、その後水洗し、パーチメントコーヒーに仕上げます。その後、農家は半日から2日程度初期乾燥をさせます。その後、パーチメントはコレクターと呼ばれる業者の手に渡り、大型の機械でパーチメントが脱殻され、生豆の状態で本乾燥を行が行われます。これが所謂スマトラ式と呼ばれる生産処理方法ですが、正確な起源は定かではありませんが、1970年代後半にアチェで生まれたと伝えられています。ウェットハルは、農家が迅速な支払いを求めていた事やスマトラに典型的な高湿多雨な気候条件から乾燥設備などのインフラを持たない小農家が乾燥リスクを負わない為に採用された独自の流通形式・生産処理と言われています。
インドネシアは一般にこのスマトラ式と呼ばれるウェット・ハルプロセスで知られていますが、近年は地域特性や品質向上を目的にフリーウォッシュドやナチュラルなどの多様なプロセスを実践する農協やウォッシングステーションが増えています。これは輸出国のマーケットだけでなく、インドネシアの国内マーケットの成長や要求、スペシャルティクオリティのコーヒーの生産など、新たな市場開拓への動きとなっています。
サダヤナ・ウォッシングステーションでは、農家は熟した赤いチェリーを厳選して手摘みし、ウォッシングステーションに運び込みます。集積したチェリーは機械式サイフォンに投入され、比重選別や果肉除去がされ、ウェットパーチメントに仕上げられます。その後、セラミック・タイルを敷き詰めた発酵タンクに入れられ、およそ16時間発酵。発酵後、パーチメントはきれいな水で洗浄され仕上げられます。乾燥場は、雨天の影響を受けないようにビニルハウス型のパティオに運ばれ、攪拌を繰り返しながら均一で理想的な水分値に仕上げられます。
ウォッシング・ステーションが中心となり、地域住民のインフラの1つとして機能する事で、より品質に根差した生産処理やその多様性、コーヒー栽培におけるノウハウの共有、トレサビリティの確保など、発展を見せています。
サダヤナ・ウォッシングステーションは、2022年3月にウエストジャワ、バンドンに拠点を構える輸出業者Sucafina社と地元のパートナーたちによって建設されました。ウォッシング・ステーションの名前となったサダヤナとは、スンダ語で「共に働く」という意味から名付けられています。約200軒の農家がサダヤナ洗浄ステーションにチェリーを収めていますが、このウォッシング・ステーションが地域のコーヒー生産者と共に成長できるように願い、「サダヤナ:共に働く」と命名しました。スンダ族はジャワ島の3大民族のひとつで、サダヤナ・ウォッシングステーションがある地域はスンダ族が大多数を占めている地域であり、多言語・多民族国家でもあるインドネシアの中で、地元に暮らす人々、そして文化への敬意も込められています。
ステーションにチェリーを提供する農家は、農業技術のサポートや手頃な価格での苗木供給といった生産サービスを利用しながら、品質向上に向けた取り組みがされています。